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隼斗の真摯な双眸に見つめられ、美羽の喉の奥がグッと潰れたように固まった。妻としてそうするのが当然だということは分かっている……それが、仮病でなければ。
グルグルと胃を掻き混ぜられるような気持ち悪さに襲われる。
隼斗兄さんに、どう説明したらいいんだろう……
美羽が困っていると、隼斗が短く息を吐いた。
「義昭くん……病院には行ったのか?」
「ううん。ただの風邪だから、寝てれば治るって。お義母さんも、『せっかくなんだから、行ってきなさい』って言ってくれてるし」
隼斗から視線を逸らし、俯いた。
お願い。どうか拒否しないで。
私も一緒に連れてって……
祈るような気持ちでいると、隼斗に背中を向けられた。
「隼斗、兄さ……」
小さく呟いた美羽の瞳の奥が熱くなる。
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