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「そう、ですか……」
空港のカウンターに立った隼斗の言葉を聞きながら、美羽はこの先どうしようかと考えていた。
本来なら明日の10時半に福岡に発つ予定だったが、美羽が早くに出発したいと言ったために隼斗は羽田空港へ赴き、カウンターにて今日出発の便が取れないか問い合わせしたのだった。
だが、今は正月休みの真っ只中であり、便はどれも満席となっていた。
「仕方ない。新幹線で行くか……
美羽、悪いが新幹線のチケットを調べてもらえるか?」
「うん」
東京から博多まで飛行機で2時間かかるところが、新幹線だと5時間ほどかかる。長時間の移動は辛いが、自分が蒔いた種だ。
美羽は鞄からスマホを取り出した。
もしかして、類からメッセージが届いてるんじゃ……
スマホを手に取る度に、そう期待してしまう自分が嫌になる。だが、LINEを開くと、香織と萌と浩平からしか来ていなかった。
車に乗っていた時にも何度かスマホを確認したが、類からの連絡はあれ以来一度もなかった。見るたびに心の中で落ち込む自分に、もう見なければいいのにと思うのに、どうしても気になって確認してしまう。
美羽は焦れ焦れする気持ちに蓋をするように、アプリを閉じた。
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