3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
その相手――タクヤは、同じ大学の三回生で、引越しセンターでアルバイトをしていた。
が、その日の夕方、勤務中、荷物の配送ミスをしてしまったのだ。
(ごめん、エリカ……。約束の時間に、間に合いそうにないよ……)
と思いながら、涙目でアクシデントの処理を続けていた。
依頼客の男が、意外なほどしつこく、千葉の支社に出向いていた社長まで呼び出し、駆け着けさせる始末だった。
タクヤは依頼客の自宅前で、時間を気にしながら、ひたすら社長の到着を待っていた。
スマホは、勤務中は使用不可のため、支社の事務所ロッカーに置いたままだったからだ。
やがて到着した社長と共に、改めて依頼客に詫びを入れ、タクヤはようやく事務所に向かった。
時刻は、午後十一時半になろうとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!