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原案(あらすじ)
目覚めると、そこは屋外階段の踊り場だった。
視界に入ってきたのは、知らない女の人の顔、顔、顔…。
「あ、目が覚めた!」
「あぁっ、動かさない方が!頭を打ってるかもしれないし…。」
「どうしよっか、救急車呼ぶー?」
知らない女の人達が、こちらを心配そうに見ながら次々と声をあげる。
まだ、ぼうっとしている頭を抑えながら…思い出した。
ずっと会っていなかった母親を一目見てみたくて、このアパートに来た事。
ここまで来たけど、勇気が出なくてというかなんというか、やっぱり今日は帰ろうと思った事。
その時に誰かから名前を呼ばれて…びっくりして、階段から足を滑らせてしまった事。
今ここにいる3人の女の人の誰かが、自分の母親なんだろうか?
でも、それを尋ねる声が出てこない。そんな事まだ出来ない、名前すら知らないし。
だから、思考を巡らせる。さっき名前を呼んだのは、どの声だろう?
でも、さすがに覚えていない。分からない…。
ちょっとカッコ悪い出会いから始まる、母親探し。
それとなく話を聞いて探りを入れたら、すぐに誰か分かるなんて思ったら大間違いだった!
オマケに、3人のお母さん候補以外にも、このアパートには一癖も二癖もある人がいて…。
今日は登れなかったアパートの階段を、何度も繰り返し登っては降りて、母親へと近付いていく。
母親を探しながら、アパートに住む人達と、まるで家族みたいな絆を育んでいく。
この時にはそんな事になるなんて、まだ知る由もなかった。
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