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校舎の屋外に設置された階段の踊り場で目覚めた八千谷呉夫。痛む頭を押さえながら起きると足もとには血だまりが! 授業をサボり、屋上で昼寝しようとしていたところ、階段を踏み外して転んだことを思い出した呉夫は、ともかくも治療のため保健室へ向かう。
ところが、よく見てみると血は出ておらず、衣服も汚れていない。では、先程見た血だまりは心霊現象か何かか? とヤンキーなのに怖がる呉夫。屋上で昼寝する気も失せ、とりあえず授業に出ようと教室へ戻る呉夫。
ちょうど休み時間、教室ではわいわいと皆がおしゃべりに花を咲かせていたが、不良としてクラスでは浮いていて、その上、元カノの円を巡って彼女とも親友の矢木とも気まずくなっている呉夫は独り孤立してしまう。暇を持て余し、近くにいた女子達のトークに混ざろうとするも、そのマシンガントークに入り込む隙もなく……。
そうこうする内に授業が始まり、席に着くも外を眺めながら、矢木や円とのことを悶々と考える呉夫。と、そんな彼を教師が指名するが「じゃ、次、八千谷……は、まあ、いてもいなくても同じだな」と口にし、それを聞いてクラス中が爆笑する。それにカチンときて机を蹴る呉夫だが、すると皆が、矢木や円までがまるで幽霊でも見たように驚いた顔で彼の方を見つめる。
居たたまれなくなり、逃げるように教室を飛び出した呉夫は早退して家へ帰るが、すると「お兄ちゃんが学校で大変なことに!」と、帰宅した呉夫に気づかずタクシーで病院に急ぐ母親と妹。
「なんか学校でやらかしたっけ?」と訝し気に思いながら聞いた名前の病院へ行くと、そこには自分の遺体と泣き崩れる家族や矢木、円の姿が。
実は階段で転んだ際、頭を強打して呉夫は死んでいたのだ。皆のこれまでの態度も幽霊である彼が見えなかったためであり、あの時、血だまりの階段で振り返っていたら、その足もとには自分の遺体が転がっていたのだった。
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