第1章 目が覚めたら

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「驚いたぞ…教室まで聞こえてきたからな、お前の奇声。教室に戻ろうとしてた綾夏が一番先に気づいて、担任を呼びに行ったんだ。」 「そうか…ありがとな。綾夏。」  混乱の最中、無理やり言語回路をつなげて謝辞を伝える。優はその時の綾夏の表情はあまり覚えていないが、顔を赤くしていくさまは見ていて面白かったと母の談。それはさておいて、今まで目が覚めなかったのは何故?今は何月何日の何時?一体いつまで入院しないといけないんだ?…矢継ぎ早に質問を続ける俺にたじろぐ母だが、隣りの高畑が全て答える。 「ひとまず落ち着け。今日はさっきも言ったとおり、お前が倒れてから3日目。詳しくいうと4月15日土曜日だ。入院しないといけないのは単純に、学校から搬送される時にお前の意識がなかったから。いつまで入院しないといけないかは、素人である俺達が知る由もない。担当医師に聞いたほうが良いだろうな。」  ぐぅの音も出ない答えに、優は瞬間的に処理落ちをしたように無言になる。えぇと? 今日は土曜日だから綾夏と高畑が学校をサボ売っているわけではないし。そりゃ、意識がない人間を自宅に返すわけがなし。医療の放棄だ。それに安楽死を希望した覚えもないしじゃあなに、俺って意識が戻れば即退院できるのか?なぁ~んだ、安心した…
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