第1章 目が覚めたら

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「――ちょっと先生呼んでくるね…。」  …たじろいでいた母が、何かを思い出したように病室を出てくのを見て、『安心するのは、もう少しあとのほうが良いのかな』と心の隅で考えた。 「…で。」 「で?」  綾夏がずいっと前に出てきた。顔の熱はどうやら引いたらしいが、とても嫌な予感がするんですけれども一体これから何が始まるんですか大惨事ですかそうですか。 「アンタの悲鳴を聞いて駆けつけてみたら半ケツ状態でぶっ倒れているわ、なぜか便器はスプラッタ状態だわ、おまけにアンタの意識は朦朧としてるし野次馬共は我先にネタ写真を撮ろうとするから必至に目隠しして……松原先生が騒ぎを聞きつけて飛んできてくれたからすぐさまったようなもんだけども! ひとまずアンタの半ケツなんて見たくなかったわよ!!」 ――あら……すみませんねェ先生…騒がしくて ――まぁ、個室ですから…多少はいいですけど…… おぅ……顔を赤くして声を張り上げる綾夏。その声は心配3割、抗議7割といった感じでなるほどほとんど俺の半ケツ見てしまったぞお嫁に行けねぇどうしてくれるんだ!と副音声で行っているようだが、半分主音声に漏れてきているな。と、視界の端に母親と主治医が並び立って綾夏の形相にチョット引いているような姿が見えた。 「あやk……」 「なにさ奏太……」 すかさず高畑が綾夏を静止するよう声をかけていったが、ギロリと食い気味に『ちょっと止めないで』と釘を刺す。 「主治医、来てるぞ……」 「・・・え?」
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