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先程の運転席の男と、もう一人威勢のいい男が部屋に入り込んできた。
「あのっ……! 今は、父はどこにいるんですか!」
「おまえには関係ないだろ! もう帰れ。朝、こいつの食料持って来い」
「喜之助くんは……?」
「俺達がかわいがってやるから安心していいぜ」
男の手が座っている寅山の頭を乱暴に撫で付けた。
「お願いです。喜之助くんに乱暴はしないでください!」
「うるせえよ、くそガキ!」
「うわっ!」
男は勢い良く、柴田を蹴飛ばすと、一人前の大人の体が飛ばされ、壁に打ち付けられた。
「柴田さん!」
「さっさと行けよ」
運転していた男が、車のキーを倒れ込んでいる柴田に投げてよこし、持参してきていた荒縄を肩に担いだまま、寅山の前にしゃがみこんだ。
「へえ、噂に聞いてたけど、本当に綺麗な顔してんだな。坊っちゃん」
「逃げ出すと面倒だ。裸で縛っておけ」
「やめろ! やめてく……ぐはっ!」
呻いていた柴田が起き上がり叫んだところに、さらにみぞおちを蹴られていた。
「早く帰れって言ってんだよ。おまえにはもう用はねえんだよ!」
「ぐあっ……あっ…」
「やめろ! 僕が脱げばいいんだろ! 脱ぐから!」
寅山は叫んでいた。自分をかばい、蹴られている柴田を見ていられなかった。
「物分りのいいお坊ちゃんだな。おい、手錠の鍵はずしてやれ」
男は柴田のポケットから手錠の鍵を取り出すと、寅山の手錠を外した。男二人がニヤニヤと見守る中、寅山は横たわっている柴田を見て、自ら学生服を脱いだ。
ブレザー、シャツ、ネクタイ、Tシャツ、ズボン……そして下着と靴下だけの姿になって、身がすくんだ。
「パンツも脱ぐに決まってんだろ、坊っちゃん」
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