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はっきりいって屈辱以外の何ものでもなかった。
家が厳しいせいもあり、女性経験はもちろんのこと、性的な行為は何ひとつ知らない無垢な心と体が、今は男たちの好奇の目に晒されている。こんな風に言いなりになって裸になるなんて、気高い父が知ったら激怒するだろうと思う。
でも自分は何も悪いことはしていない。堂々としていればいいだけだ。勢いをつけて、下着を一気に引き下ろした。
「ひゅー。男にしておくにはもったいねえ、いい体だな」
「ちょっと痩せすぎじゃねえか?」
談笑しながら、男は寅山の腕を後ろにまわし手首を留め、そのまま腕ごと胴体をぐるぐると荒縄で縛った。上と下で二重になった縄の間に、空気に触れたせいか、両の乳首がつんと立っている。
「お坊ちゃん、ちょっと勃ってねえか?」
耳元で囁かれ、顔を背ける。
「見られて感じてんのか。イマドキのガキはエロいな」
どん、と押されて、そのまま床に倒れ込む。柴田が心配そうにこちらを見つめている視線を感じる。けれど全裸で縄で縛られていて、こんな恥ずかしい姿を見られたくなくて、目が合わないように顔を背けるのに必死だ。
「何、じろじろ見てんだ。おまえにはまだ早いんだよ! いいから明日の朝来い。わかったな」
男は柴田を無理やり起こし、玄関まで引っ張っていった。扉が乱暴に閉まる音がして、柴田が出ていったとわかる。
もうここには自分を守ってくれる味方はいない。柴田の言うとおり、彼の父親の懲戒が取り消されれば終わるというのなら、もしかするとすぐ解放されるかもしれないし、逆に永遠にここに監禁されるかもしれない。しかし、自分の父親の命じた解雇のせいで、誰かの人生が狂ってしまうのなら、その罪は息子である自分が受けるべきかもしれない。
寅山の心は決まりつつあった。
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