第二章:人生を狂わすほどの快感を

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「あーあ、男じゃなくて女だったらよかったのにな」 「おまえバカだな。女じゃないからいいんだろ?」 「え、そういうもん?」 「どんだけ出しても妊娠しないし、人間のケツは丈夫なんだぜ。言うことなしだろ」 「おまえロクな死に方しねえな!」  二人の男が寅山のことを言っているのはわかる。このあと、自分はもしかして女のように犯されるのだろうか。見えない恐怖が支配する。 「ローション使えば、女のアレみたいに滑りもよくなるぜ」 「マジかよ、最高だな」 「坊っちゃん、癖になっちまったりしてな」 「人生狂っちゃうだろ。寅山羊羹の御曹司が肉便器にされるなんてよ」  二人の男が高笑いを浮かべながら談笑している。  冷蔵庫の中に飲み物があるらしく、二人はビールを開け、煙草を吸い、全裸で横たわる寅山を前にたわいもない会話を続けている。 どうせヤるなら、ひと思いにやってくれればいいのに、男二人は寅山になかなか手を出してこない。何を待っているのだろう。自分が襲われるのはいつなのだろう。  それから2時間ほどが経過しただろうか。 「おーい」  ガチャ、と玄関から音がして、もう一人の男が現れた。黒いサングラスに、柄のシャツ、黒革のパンツを履いた細身の男がジュラルミンケースのようなものを持参して部屋に入ってきた。 「遅いっすよ。待ちくたびれましたぜ」 「悪い悪い。渋滞してたんだ」  男は窓側に向かい、カーテンを閉め、去り際に横たわっている寅山と目が合った。 「へぇ、こいつは上玉だな。裏で高く売れそうだ」 「兄貴がそういうなら間違いないっすね」 「羊羹屋の息子だっけか。まぁ、俺らを恨んでも無駄だからな。そこんとこよろしく」  サングラスの男は寅山の頭をぽんと撫でた。 「いろいろ持ってきたから、朝までたっぷりかわいがろうぜ」 「うわ、なんすか、コレ」 「アナルビーズ。これ、引っ張ると卵産んでるみてーで超興奮するぜ」  男のジュラルミンケースを囲み、三人が賑やかに話している。そして男はケースから三脚とビデオカメラを取り出した。 「見た目のきれいな高校生は人気なんだぜ」  寅山は男が不敵な笑いを浮かべるのを見て、背筋がぞくりとした。この三人の男に、今から自分が何をされるのか、予想もつかなかった。
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