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「あーあ、男じゃなくて女だったらよかったのにな」
「おまえバカだな。女じゃないからいいんだろ?」
「え、そういうもん?」
「どんだけ出しても妊娠しないし、人間のケツは丈夫なんだぜ。言うことなしだろ」
「おまえロクな死に方しねえな!」
二人の男が寅山のことを言っているのはわかる。このあと、自分はもしかして女のように犯されるのだろうか。見えない恐怖が支配する。
「ローション使えば、女のアレみたいに滑りもよくなるぜ」
「マジかよ、最高だな」
「坊っちゃん、癖になっちまったりしてな」
「人生狂っちゃうだろ。寅山羊羹の御曹司が肉便器にされるなんてよ」
二人の男が高笑いを浮かべながら談笑している。
冷蔵庫の中に飲み物があるらしく、二人はビールを開け、煙草を吸い、全裸で横たわる寅山を前にたわいもない会話を続けている。
どうせヤるなら、ひと思いにやってくれればいいのに、男二人は寅山になかなか手を出してこない。何を待っているのだろう。自分が襲われるのはいつなのだろう。
それから2時間ほどが経過しただろうか。
「おーい」
ガチャ、と玄関から音がして、もう一人の男が現れた。黒いサングラスに、柄のシャツ、黒革のパンツを履いた細身の男がジュラルミンケースのようなものを持参して部屋に入ってきた。
「遅いっすよ。待ちくたびれましたぜ」
「悪い悪い。渋滞してたんだ」
男は窓側に向かい、カーテンを閉め、去り際に横たわっている寅山と目が合った。
「へぇ、こいつは上玉だな。裏で高く売れそうだ」
「兄貴がそういうなら間違いないっすね」
「羊羹屋の息子だっけか。まぁ、俺らを恨んでも無駄だからな。そこんとこよろしく」
サングラスの男は寅山の頭をぽんと撫でた。
「いろいろ持ってきたから、朝までたっぷりかわいがろうぜ」
「うわ、なんすか、コレ」
「アナルビーズ。これ、引っ張ると卵産んでるみてーで超興奮するぜ」
男のジュラルミンケースを囲み、三人が賑やかに話している。そして男はケースから三脚とビデオカメラを取り出した。
「見た目のきれいな高校生は人気なんだぜ」
寅山は男が不敵な笑いを浮かべるのを見て、背筋がぞくりとした。この三人の男に、今から自分が何をされるのか、予想もつかなかった。
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