2962人が本棚に入れています
本棚に追加
/680ページ
親睦会でできた頬のアザと腫れは3日で引いた。
早く治ってくれてよかった。
人とすれ違うたびにハッとした顔をされて見られることもない。
「じゃあ、行ってくる。ご飯は先に食べてて」
「わかった」
今日は親睦会の事件の事で風紀委員会から呼び出しを受けた。
放課後、迎えに来た風紀の人─あの時最初に駆けつけたうちの1人で、近藤と名乗った─と共に、校舎の最上階へと向かう。
生徒会室と風紀委員会本部は校舎の最上階にあって、専用のエレベーターか階段でしか行けないという。
一般生徒は原則立ち入り禁止だ。
「今日はご協力ありがとうございます」
風紀委員会へとつながる廊下を歩きながら、近藤先輩は愛想よく言った。
「いいえ。あの後、大丈夫だったんでしょうか」
あれほど怯えていた小柄な人の姿が思い出される。
気になっていた。
「その話は…」
「あ…すみません、不用意に」
聞いてから気付く。廊下に人影はないものの、おおっぴらに話す内容ではない。
口をつぐむと、近藤先輩は笑って首を振った。
最初のコメントを投稿しよう!