第23章 闇雲に彼女を探して

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俺の胸を軽く不安がよぎった。確かにあいつはそういうとこ律儀というか。今現在の俺との状況はともかく、基本返信を遅らせることなんかまずない。 「スマホ家に忘れて会社の研修とか出張に行っちゃったとか。一泊か二泊くらいならそんなこともあるかもよ。最初に連絡したのは何日前なんだ?」 悪い方に考えたくなくてつい安心できる方向に話を誘導したくなる。ふと電話の向こうで似鳥が一瞬黙り込んだ。何か気づかれたかな。 『椿原、この数日あの子と連絡取ってないの?』 「なんで?」 何食わぬ声で嘯く。似鳥が肩を竦める気配が伝わってきた。 『なんでも何も。あんたたちなら三日と空けずにやり取りして普段から動向把握してるのが日常だと思ってたから。てか、つまり少なくともこの数日はあの子と連絡取ってないってわけか」 どう反応していいか迷う。数日どころのことじゃないんだけど。 似鳥は俺の言い訳を待たずにずけずけと話を先に進めた。 『またうるさいこと言って嫌がられて喧嘩にでもなったのか。でもさ、こんな場合だから。椿原の方からもちょっと連絡入れてみてよ。あたしが心配してるけどなんかあったか、忙しいのか?って』 言われてることはご尤もなのだが。 「うーん、あの。…多分、無理だと思う。返事もらうのは」     
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