第24章 俺たちは繋がってる

29/33
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
「思えば眞名実が傷を回復するまで限定の関係だったんだよ。あの子が立ち直って自分の足で歩き出したい、って言い出したらそれは送り出すしかないだろ。それまで支えてサポートできただけでも御の字じゃないの?」 と言ってやるとなんとも言えない顔つきで黙り込んでいたらしい。 探すあても特にないみたいだから動き出す様子でもないけど、眞名実を見つけ出して引き戻そうなんて気を起こしたりしないよう注意が必要だな、と言う神野に俺も深く同意した。あの執着ぶりを目の当たりにしてるだけにどうも油断ならない。 「でもさ。それはお前もだろ」 思わず突っ込むと、奴は動じずすっと肩をすぼめていなした。 「無理やり連れ戻そうなんて全然思ってない。今の仕事に眞名実がやり甲斐を感じてるならそれを続けられるようにサポートするよ。僕の仕事なんか別にどこでもできる。彼女のすぐそばに引っ越しても構わない。絵はどこでも描けるし、パソコンで送れる」 やばい。そうかも、と思いかける自分を懸命に叱咤して論拠の穴を探す俺。 「そうは言うけどさ。簡単にはいかないだろ。今は半分バイトなんだろ?田舎にバイトの口なんかそんなに都合よくないんじゃない。絵だけで暮らせるとこまで行ってるならともかくさ」 奴はちょっと眉をひそめて反論を試みた。     
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!