二人の絆

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「で、気づいたら反抗期真っ只中。生意気なこと言うから私もついむきになっちゃうのよね。あの子に才能があれば一緒にいろんなところに連れていけたかもしれないって、思ったりもするんだけどね」 あっけらかんと話す美悠に舞花は小さな怒りを覚えた。 「お母さんは……知らないだけです。本山くんの才能を。本山くんのこと、何にも知らないだけです!」 そう強く言った舞花にでさえ、美悠はキョトンとした顔で 「そうかもしれないわね。あの子の事は何も知らないの」 と答えた。 コンサートに出ると決めた自分の決意は、もしかしたら間違った選択だったのかもしれない。 舞花は一瞬そうよぎったが、気持ちを持ち直して強く続けた。 「絶対気づかせてみせます。本山くんの良いところ、全部!」 「……あなたもしかして、悠翔のこと好きなの?」 「好きですよ!好きじゃいけませんか!?本山くんは、本当に素敵な人です。そんな悠翔くんの魅力に気づけないなんて、本当にお母さんは可哀想な人です!」 ムキになる舞花の目をしばらくじっと見つめた後、美悠はふーっと息をつき言葉を発した。 「ごめんなさいね。私、才能しか愛せないの」
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