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最初に一音を鳴らした瞬間から指は止まることなく鍵盤の上を走った。
楽しい!
そう思う余裕すらあった。
悠翔の作った曲がどんどん自分のものになっていくような感覚に襲われた。
悠翔が傍にいる。そう思えるだけで、不安は吹き飛んだ。
次々に鳴る音、一つ一つに悠翔の想いが込められていた。
会いたい。
会いたい。
好きだ。
舞花の心にあふれた感情が一音一音にかっちりはまっていくようだった。
最後の一音を鳴らした後、会場は少しの沈黙の後、割れんばかりの拍手と共に人々が立ち上がる姿があちこちで見られた。
「ありがとうございます。高野さんも、ありがとう。こちらにいらして」
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