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目が覚めたら、そこは屋外の非常階段だった。
向かいのビルから飛び移った時に頭を打って、脳震盪を起こしたらしい。
向かいのビルをみて、我ながら、よく飛び移れたと思う。
Kは、ポケットに手を入れて、メモリ―スティックがあるのを確認した。
始まりは、一通のメッセージ。
脅迫と共に届いた指示。
以前インターネットに炎上目的で書き込んだコメントを、内定した会社にばらされたくなければ、指示に従え。
指示に従って、隠し撮りをさせられたり、盗聴の手伝いをさせられたり。
ある指令を終えた帰りに、Kは車いすのきれいな女性に会う。
動けなくなっている所を助けた縁で、親しくなる。
次第にKは、自分がやっていることが、あるソフトウエア会社の不正の証拠集めだと気が付く。
Kが指示に従って近づいた、不正を行っていると思われる会社の社員のIも、会社の不正に気付き、最悪の場合は、自分が責任を負わされる立場にあることに気が付く。
KとIは協力し、指示の先回りをして、指示を出す人物が欲しがりそうな情報を先に手に入れ、指示を出す人物と交渉し、その正体を探ろうとする。
Iの手引きで会社にもぐりこみ、不正の証拠をメモリ―スティックにコピーするが、社員にばれて、屋上に逃げる。逃げ場をなくして、隣のビルの非常階段に飛び移り、かろうじて逃げ切る。
指示を出す人物が、不正の告発をするなら、協力してもいいと思うようになる。
証拠を手に入れたことと、目的が不正の告発なら協力するとメッセージを送るが、指示を出す人物からの連絡が途絶える。
車いすの女性が、Kとデート中、こっそりKのバッグからメモリ―スティックを取り出し、コピーする。
Kは気づかない。
ある日Kはテレビで、会社が告発され、社長が退陣、その娘が社を率いるという内容の記者会見をみる。
その社長となる女性は、あの車いすの女性だった。
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