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窓の外は、鉛色の空。
そこに「嘘だろ!?」ってくらい横方向に降る雪。
「さぶすぎんだろ、こりゃたまらん。」ってことで、俺と古見は学校をサボって古見の家へ帰ることにした。
学校から100メートルもないくらいのアパートの古見んち。親は共働きでいないから、俺達のグループでは良く古見んちを利用した。古見は面倒見いいから、俺達がサボりたいとか悩みがあるとか、なにか理由をつけるとすぐに家に入れてくれた。今日も教室のヒーターだけじゃ寒すぎる、こりゃたまらんと嘆く俺の我儘を聞いて、「じゃあ家来るべ?」って、古見は家へ連れてきてくれた。
『昨日からの爆弾低気圧はゆっくりと通過する見込みで、各地の交通機関はストップしているようです。なお、この低気圧は明後日まで続くと気象庁から発表があり…』
古見の部屋のこたつに潜り、テレビの音を聞いていると、台所から古見がココアを持ってきてくれた。
「加藤、和みすぎ。学ランくらい脱げよ。」
「だってこたつってヤバイよね。もう俺、一歩も動けない。こたつ大好き。」
俺んちにはこたつが無いから、俺は古見んちが大好きだ。だってこたつは暖かいし、ほっといても甘い飲み物は出てくるし、古見は優しいし。外は極寒の猛吹雪で、今頃みんなあの寒い教室で勉強なんかしてるかと思うと益々幸せを感じる。
「加藤?寝てねーか?」
「んん?寝てねーよ…」
ぬくぬくと幸せを感じていたら、眠気が俺に訪れた。
「かーとーぉ?」
「なーあーに…?」
「そんなにこたつ好きか?」
「んん…好きー…」
「じゃあココアは?」
「ん、すきー…」
古見は俺を寝かさんとしているのか、寝入りそうな絶妙なタイミングで話しかけてきた。そう言えば、古見の声もいい感じに低くて好きだな。眠い頭に心地よく響く。それに古見は俺に甘い気がする。あれ?じゃあ古見とココアって最強じゃね?あと少し…こたつとココアといい声。あとは…
「かとおー?」
「古見も…すきー…」
「…加藤?」
「……んっ?」
古見の声を聞きながら、俺は夢と現をふわふわと浮かんでいた。あぁ、そうだ。古見は俺に優しいし、かっこいいし声も気持ちいい。古見を手に入れたら、全部俺のものじゃん!夢にはこたつとココアと古見がモコモコの雲の上にいて、俺は手を伸ばした。
「…か、加藤。」
「ん……?え?!」
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