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窓の外は生憎の吹雪だった。
教室の端のヒーターに当たりながら、「さぶすぎんだろ、こりゃたまらん。」と、俺をチラチラと見ながら加藤は言った。
遠慮がちにも加藤は期待の眼差しで、小柄な体のせいで上目遣いに見えるのがあざとい。実は俺には弟が欲しかったという過去があるから、小さな加藤は弟のようでついつい甘やかしてしまう。「じゃあ家来るべ?」ってことで、俺と加藤は学校をサボって俺の家に帰った。
そういやグループ数人で来たことはあるけど、加藤が一人だけで来るのは初めてだな と、なんとなく意識してしまった俺とは裏腹に、加藤は部屋に着くなり学ランも脱がずにこたつに入った。
スイッチも入れてねんだけど…w と思いながらこたつのスイッチを入れて、台所でココアを淹れて持っていくと、加藤はテレビを見ながら首まで布団にスッポリ入って和んでいた。
和みすぎだろ。思っただけだとおもったら口から出ていたらしく、加藤は「だってこたつ大好き!」なんて言って幸せそうにしている。確かにこんな雪の日は、こたつは暖かくてたまらないよな。外は極寒の吹雪。なのにこの狭いテーブルの空間は暖かくて幸せだ。ココアをズズッと一口啜ると、加藤の頭はユラユラと揺れ出した。
「加藤?寝てねーか?」
「んん?寝てねーよ?」
否定する加藤だが明らかに声がフワフワしている。
「かーとーぉ?」
「なーあーに…?」
加藤を覗き込むと、目は既に閉じられていた。
「そんなにこたつ好きか?」
気付かない加藤の顔をまじまじと見ながら聞くと、加藤はよっぽど気持ちいいのか、口をニマッとしながら言った。
「んん…好きー…」
「じゃあココアは?」
「ん、すきー…」
すきー…って、可愛すぎんだろ!幼児かww
普段見ない友人の寝顔はそのせいで幼く見えて、こたつの温もりが幸福感をあげていく。こんなに無防備にされると、ほかの奴らよりはなついてくれてんのかなっ?て少し嬉しくなってたら、加藤が寝返りをうった。
「かとおー?」
「古見も…すきー…」
そういいながら寝ぼけた加藤は両腕を俺に伸ばしてきて、
「…加藤?」
「……んっ?」
俺は加藤に抱き締められてしまった。
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