こたつ

3/4
前へ
/4ページ
次へ
窓の外は生憎の吹雪だった。 教室の端のヒーターに当たりながら、「さぶすぎんだろ、こりゃたまらん。」と、俺をチラチラと見ながら加藤は言った。 遠慮がちにも加藤は期待の眼差しで、小柄な体のせいで上目遣いに見えるのがあざとい。実は俺には弟が欲しかったという過去があるから、小さな加藤は弟のようでついつい甘やかしてしまう。「じゃあ家来るべ?」ってことで、俺と加藤は学校をサボって俺の家に帰った。 そういやグループ数人で来たことはあるけど、加藤が一人だけで来るのは初めてだな と、なんとなく意識してしまった俺とは裏腹に、加藤は部屋に着くなり学ランも脱がずにこたつに入った。 スイッチも入れてねんだけど…w と思いながらこたつのスイッチを入れて、台所でココアを淹れて持っていくと、加藤はテレビを見ながら首まで布団にスッポリ入って和んでいた。 和みすぎだろ。思っただけだとおもったら口から出ていたらしく、加藤は「だってこたつ大好き!」なんて言って幸せそうにしている。確かにこんな雪の日は、こたつは暖かくてたまらないよな。外は極寒の吹雪。なのにこの狭いテーブルの空間は暖かくて幸せだ。ココアをズズッと一口啜ると、加藤の頭はユラユラと揺れ出した。 「加藤?寝てねーか?」 「んん?寝てねーよ?」 否定する加藤だが明らかに声がフワフワしている。 「かーとーぉ?」 「なーあーに…?」 加藤を覗き込むと、目は既に閉じられていた。 「そんなにこたつ好きか?」 気付かない加藤の顔をまじまじと見ながら聞くと、加藤はよっぽど気持ちいいのか、口をニマッとしながら言った。 「んん…好きー…」 「じゃあココアは?」 「ん、すきー…」 すきー…って、可愛すぎんだろ!幼児かww 普段見ない友人の寝顔はそのせいで幼く見えて、こたつの温もりが幸福感をあげていく。こんなに無防備にされると、ほかの奴らよりはなついてくれてんのかなっ?て少し嬉しくなってたら、加藤が寝返りをうった。 「かとおー?」 「古見も…すきー…」 そういいながら寝ぼけた加藤は両腕を俺に伸ばしてきて、 「…加藤?」 「……んっ?」 俺は加藤に抱き締められてしまった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加