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病室に戻ると姉の汐里は布団をかぶって横たわっていた。
髪の毛が一束、布団の間から抜け出している。
彩香と奏は一瞬顔を見合わせたが、奏の方から視線を逸らした。
そのままベッドまで身体を支えてくれて、ベッドに横たわると布団を掛けてくれる。
「奏さん、お仕事は?」
甲斐甲斐しく面倒を見てくれるところを見ると、人と接する職業だろう。力もあるし、看護師か介護士か。
そんなことを思っていたら、返ってきたのは、
「スーパーの社員です」
という、意外な言葉だった。
「加工食品の担当なので体力はある方だと思います」
ドリンクや調味料、お菓子やレトルト食品、その他さまざまな食品を取り扱っていて、スーパーでも彼女の担当部門の売り上げは大きいらしい。
ピクリとも動かない姉、汐里のベッドの横で椅子に座ってその様子を見つめる彼女は、少しやつれた顔をしていた。
時計を見れば午後8時半を回っていた。もうすぐ消灯の時間。
奏はテーブルの上の飲み物と貴重品の入った金庫のカギを確認すると、膨れ上がった布団にそっと手を乗せる。
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