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母たちは、帰り道の途中にあるスーパーで買い物をすると言って、私たちと別れた。
家に着き、部屋に入るとすぐ、ハンガーに新調のブレザーを壁にかける。
真っ白なワイシャツのボタンを2つ外した時、私の第六感が働いた。
──ガラガラッ。
「コラッ、のぞき魔!」
隣の家の窓には、一瞬バツが悪そうな顔をするゆうくん。
──ガラガラッ。
「あ゛? この露出狂!」
と即刻抗議しながらも、少しはだけた私の胸元に視線が釘づけ。
「ちょっと! 見ないでよ!」
「バ……み、見てねぇよ! てかぉお前、早く机の位置変えろ! 窓に向けたのは俺の方が先だろ!」
「私の方が先ですよーだ!」
「いいや。俺の方が」
「そもそも! アンタが机に座ってるのなんて見たことないけどー?」
「‥‥っ」
「ブバァーーカッ!」
──バタンッ!
私は舌を出して窓を閉め、両手でカーテンを握って勢いよくクロスさせる。
でも実は、数年間に及ぶこの近隣トラブルも、私とって幸せを感じる時間の一つだ。
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