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こうして私たちは初めて肩を並べて歩く。ものの、校門を出るまで会話はなし。
私は、どんなことから話すべきかを模索していた。
どうせなら、一気に距離を縮めたいとも。
「そうだ!」
またも彼女の肩がビクつく。昔から、“声が大きい”とよく言われていた。
「今日から真央ちゃんって呼んでもいい?」
「ぇ?」
「いや、やっぱり真央にしよっ!」
当の真央は、緊張を示すように、カバンを両手でギュッと抱きしめている。
「ちょっと馴れ馴れしいかな?」
「そんなこと……ない」
「じゃあ決定ね! 私のことはユイでいいから」
「‥‥う、うん」
今になってやっと、彼女の強張っていた頬が緩む。
それどころか、饒舌化した。
「なんか夢みたい。唯ちゃんって、私の憧れだったから……」
「憧れ? クスッ、何それ!」
「 だって頭も良いし、運動もできて、それに桜峰中で一番可愛かったし」
「またまた! お世辞が上手いね」
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