第1章 序節 招待状  唯

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「お世辞じゃないよ! いつだったかな、男子がコソコソ話してたんだ」 真央は、私の正面を後ろ向きで歩きながら続ける。 「みんな口を揃えて、『唯ちゃんと付き合いたい』って言ってた」 「やめてよー! 冗談で言い合ってただけでしょ?」 「ちがうもん!」 彼女はぐっと立ち止まり、キッと私を睨みつける。 「その時思ったんだから! "もし自分が男なら、私も唯ちゃんと付き合いたいなー"って」 あまりにも真剣なその表情に、すっかり謙遜を忘れてしまった。 「ぁありがとう。‥‥後ろ、危ないよ」 真央の背後に駅の階段が迫り、私はそっと彼女の腕を引く。 すると、 ──タッタッタッ。 軽快に階段を駆け上がりながら、 「その時こうも言ってた。『だけど、唯ちゃんには結城がいるから絶対にムリだな』って」 「ぇ!?」 驚いて立ちすくんだ私。 途端、真央は"してやったり"の顔をしながら、私のいる一段上まで戻ってくる。 「やっぱり、結城くんがいるから聖光を選んだの?」 昨日も訊かれた、この質問。だが、本人以外なら素直になれる。 「う、うん」  
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