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「だよね? やっぱりそうだよね?! フフフッ──」
──タッタッタッ。
どちらが恋をしているのか見分けがつかない程に楽しそうな足取りで、彼女は再び階段を駆け上がっていく。
「電車来たよ!」
「ホント?」
轟音と共に、ホームへ進入する8両編成。
私は照れ隠しのために訊く。
「真央ちゃんだって、いつも学年トップの成績だったのに、なんで?」
「私は……」
──プシューッ。
開いたドア。
下りる人を優先するために避けると、ひとときの雑踏の中で彼女は小さくつぶやいた。
「公立の志望校に落ちたから」
「ぁ……」
少し考えれば分かること。デリカシーの無い自分にイラだつ。
「ごめん」
「‥‥いいの」
真央はそう言って、一足先に電車へと乗り込む。
椅子に深く腰掛け、ため息混じりに言った。
「きっとね、神様は教えてくれたんだよ。勉強が全てじゃないぞ、ってね」
「…………」
「だからもう気にしてない!」
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