第1章 序節 招待状  唯

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次の日、ふたり揃って入部届を顧問に提出。 放課後には、部員の前で自己紹介。 「マネージャーをやることになりました、堀川 唯です」 「……ぁ、青木 真央です。よよろしくお願いします」 この時、ゆうくんは教えてくれた。 “狐につままれたような顔” がなんたるかを。 本当は、その顔が見たくて秘密にしていたのだけれど。 「見た? 結城くんのあの顔! キョトーンとしてたよね?!」 「うんうん!」 「黙ってて正解。あれは何度思い出しても笑える」 真央とふたりしてハシャいでいたが、もちろん不安もあった。 そんな心配をよそに、私たちはすぐに野球部へ溶けこむ。 データを集め、理論上の数字でサポートする頭脳明晰な真央。 論理も哲学も一切無視で、明るさだけが取り柄の私。 特待生として、創設から最短記録での甲子園出場を目指すゆうくん。 彼以外にも、全国から集められた精鋭たち。 今まさに心地快い風が、青春の風車を回しはじめた。  
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