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ふふ。と馬鹿にするような笑みを浮かべるエミリーから視線を外し、このままだと本当に自分がキレそうなので、誤魔化す為にそのまま歩きだす。
「そういえば、昨日の怪我は治ったの?」
隣に並んだエミリーが切り揃えられた金髪のポニーテールを揺らしながら訊いてくる。
「朝起きたらほとんど治ってた。多少めまいがするが、これは多分貧血だな。さすがに血はまだ戻らないらしい」
「あの傷を一晩でとかどうなってんのよあんたの体」
「さぁな」
呆れたように呟くエミリーにミーリーも同意する。
「また今日も風紀委員長に呼ばれるんじゃない?なのに学校に来るなんて馬鹿としか思えないわ。今度はどんな重傷を負ったとしても施術はしないわよ?」
「分かってる、分かってるて」
ミーリーは手をひらひらと振り、苦笑する。
「まぁ、私もあのやり方は気に入らないけど…。あんたみたいに正面切って殺るのは愚の骨頂ね」
「──悪かったな…。オレは魔法はほとんど使えないんだよ」
やばい。少し収まってたはずの怒りがふつふつと沸き上がってくる。だが、エミリーに下手に突っ込めば魔法で返り討ちにされるだろう。
「───チッ」
苦々しげな舌打ちをすると歩調を早める。と言ってもエミリーは足が長いからか苦もなく隣に直ぐに追い付く。
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