chapter 2.鳥籠の小鳥は

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chapter 2.鳥籠の小鳥は

 まだ、外は薄暗い。  やけにキリキリと痛む胸を抑え、人影はゆっくりとベッドから起き上がった。  体を覆っていた布団がパサリと落ちる。  むき出しの肌に刻まれた青い刺青を隠すようにナイトテーブルに置いてあったワイシャツを羽織る。  はっきりとしない意識の中に、旧い記憶が過る。  あぁ…、またか。  自嘲的な笑みを浮かべながら冷たいタイル張りの床に足を降ろし、立ち上がる。そのままひたひたと素足で歩むとカーテンに手を掛けた。  淡い光に移ったその顔は刃物のような美貌。黒目がちなサファイアブルーの瞳は光を映している。まだ幼さの残るその容姿は男子にも女子にも見える  早々に窓から離れ、ワイシャツのボタンを閉めるとブーツに足を通した。  全ての準備が終わると紺色のロングコートを羽織り、鞄の肩紐を肩に掛ける。  木のドアを開け、部屋を後にする。 「ミーリー、もう起きたの?」  物音を聞き付けたのか、階段の下から保護者であるヤヨイの声がする。  何も返す事もなく階段を降りきると、一階のリビングのソファーに座るヤヨイが振り向いた。     
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