chapter 2.鳥籠の小鳥は

3/48
前へ
/235ページ
次へ
 周りをぐるりと山脈に囲まれたこの国の町並みは今の技術では造れないような無骨な高層建造物が多い。  暫く歩くと同年代の人々がちらほらと増え始めた。  この世界には大きく分けて、魔法族という魔力を先天的に持った種族と非魔法族の二種類だ。  系統からすれば数えきれないほどの種族がいるが、どの種族も魔力をもつ者と持たない者に分けられてしまう。  自分の行く先にあるのは、その魔法族を集め、魔力の使い方を教育する場所だ。 「あら、早いじゃない?」  自分にしては珍しく考え事をしながら歩いていたのが裏目に出たのか、背後から真っ白な手視界に入った。 「……!?」  ひんやりとした感覚が首筋に走り、慌てて振り向く。  エミリーだ。女子としては長身ではあるものの線は細い。おまけにちゃんと凹凸もある。切れ長の目は鋭いと言うよりどこか冷めた印象を受ける。 「なにすんだよ、朝っぱらから!!人の背後に回んな!」 「そっちこそ何よ。また、お姉さんと何かあったわけ?」 「五月蝿い!!」 「へぇ…、図星。あんた、いい加減にあんまり迷惑かけないようにしなさいよ」 「分かってるさ…」     
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加