父親の自覚

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『そこでいきなり、ミカンを乗せたコタツに入ったオヤジのいる部屋に通されるんだよ。うかつな男なら油断するだろう。え?もしかして挨拶とか要らない感じ?もう和気藹々な家族の一員として振舞っても良い感じ?と。トラップだよ。』 父親はニヤリと笑う。家族団欒の象徴をトラップにするのだ。 『コタツの中でいきなり足を伸ばして誰かを押すとか、いきなりミカンに手を伸ばすようないい加減な男に、この子をやるわけにいかないだろう。狭いコタツでの振る舞いこそ、長い付き合いでどれだけ“親しき仲にも礼儀あり”をきちんと踏まえて行動できるか知るツールになるんじゃないか?』
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