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小学校の時に拒絶されて上手く関われなかった分だけ、今こんな風に何かしてあげられる事が嬉しくて、つい、世話を焼いてしまう。
別にずっと好きだったわけじゃない。
先日店の前で顔を見るまではあの言葉のインパクトに思い出す事を拒否ってたくらいだ。
テレビの中のイケメンにも恋焦がれたし、店に来る常連のお兄さんに焦がれた事もある。
でも、こんな風に茨と関わる事になってからは、またあの頃覚えた憧れる様な気持ちが騒いで仕方ない。
ウザかったのかと思って、しょんぼり肩を落としていると、はぁ……と言う溜息が聞こえて、俯いたまま鈴悟はビクッと肩を震わせた。
「そんな顔しないでよ。寧ろ、俺がお礼するべきだろ?」
「え、え? え、なんで?」
「世話焼いて貰って、晴世の事まで頼んで貰って……情けないったらないよな」
「いや、いやいやいやいや……で、で、でも、今回は仕方ない……よ?」
「なぁ、お前って本当にゲイなの?」
布団の横に膝を付いていた鈴悟の太腿に手を触れた茨は、それを意味あり気に逆撫でる。
「ちょ、なっ……!?」
「あの時、俺に告って来たのは、気の迷いとかじゃ無かったの?」
段々と近づいてくる茨の顔に、思わず固まって動けない。
呼吸が出来ているのかすら怪しい。苦しい。どうしよう。
何が起こっているのか分からない。
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