りんごとばら。

11/14
前へ
/14ページ
次へ
「俺、ちょっと前まで売りやってたんだよ」 「うううううう、う、うり? 瓜? え、ウリって?」 「体で稼いでたの、しかも男相手に。お前が良けりゃだけど、俺の体で返すってのは、どう?」  衝撃的過ぎて、言葉以前に思考回路がショートした。   「い、いいい、いやだっ!!」  そうだ、夜の道路工事や清掃が似合わないんじゃなくて、この樫山茨(かしやまいばら)からは同じ夜でも、淫蕩な夜の匂いがする。  視線一つで体の熱が上がって、その細い指でなぞられた所から白い情欲の火が点って行く様な、潤んだ眸と視線が合って、驚いた拍子に鈴悟は茨を突き飛ばした。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加