第1話 子沢山村

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尚も笑い続ける将拓に、黄杏は飽きれ顔だ。 「それに、王の妃になるなんて、それこそ見目麗しい女がなるものでしょう?」 「そんな事は、書いていなかったぞ。」 「当たり前過ぎて、書く程でもないのよ。」 そう言ってた黄杏だが、何やら出掛ける支度をしている。 「どこかに行くのか?」 「ええ。条件に合わない娘も、台所仕事をしなければならないんですって。その衣装の打ち合わせよ。」 黄杏は、髪を軽く解かすと、手荷物を持って、外に出た。 外では隣の家に住んでいる同じ年の美麗が、化粧の練習をしていた。 「美麗、衣装の打ち合わせに行かなくてもいいの?」 「ああ、私はもう終わったわ。」 美麗は、筆を持ちながら答えた。 「あら、早いのね。」 「そうね。お妃候補だから。」 しれっと答える美麗。 だが美麗も、背は高く、決してか細くなかった。 その上、村一番の美人と称えられていた。
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