第1話 子沢山村

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「恐れ入ります。」 益々、頭を下げる忠仁。 「少しだけ、元気が良すぎるが、な。」 「あっ……」 忠仁が武勇に優れているせいか、娘の紅梅も幼い頃から、武術に長けていた。 今でもたまに、王の武術の相手をする程だ。 「こればかりは、お恥ずかしい。」 「はははっ!」 信寧王は笑いながら、忠仁と共に、王の間へと入って行った。 王の間には、別な家来が控えていた。 横には、信寧王が署名しなければならない書類が、山程ある。 「今日は一段と、仕事があるな。紅梅の元へ行くのは、いつ時になるのだろう。」 「今夜も、紅梅の元へ行かれるのですか?」 忠仁が問う。 「ああ。今朝、紅梅と約束をした。」 信寧王が、書類の一枚を、手に取った時だ。 忠仁が、王の側に来た。 「本日は、紅梅の元へ行くのは、お止めになってください。」 「どうしてだ。」 「仲が良すぎると、子はできにくいと言われています。」
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