第1話 子沢山村

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その時だった。 外から、家来の一人が入って来た。 「王。ぜひ、お耳に入れたき事がございます。」 「なんだ?」 「もしかしたら、王に世継ぎが誕生するやも、しれません。」 信寧王は顔を上げ、側にいた忠仁と、顔を見合わせた。 「話してみなさい。」 忠仁が、家来に伝えた。 「はい。我が国の外れに、通称子沢山村と言う場所があるのです。」 「子沢山村?」 信寧王は、顔をしかめた。 「あまりに子が生まれるので、そういうふうに、呼ばれているのだとか。噂が本当か確かめてみると、どこの家も、3人~5人の子供がおります。更に村ができてからは、子供を産まずに死んだ女性は、いないとの事です。」 信寧王の顔に、笑みがこぼれた。 だが直ぐに、難しい顔に戻ってしまった。 「だが、子供を生む為に、これ以上妃を迎えるなど……」 「何を仰せですか。」 忠仁が、王の前に歩みを進めた。
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