第1話 子沢山村

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「王は、まだ3人しか妃は、おらぬではありませんか。まだまだ少ない方でございます。それに、世継ぎを作るのも、王の大事な勤めですぞ。」 「忠仁……そなた、紅梅の事はよいのか。」 「私が守るべきは娘ではなく、あなた様であり、この国でございます。」 忠仁の真っ直ぐな目に、信寧王も首を縦に振らずには、いられなかった。 「どうでしょう。一度、その子沢山村を訪ねてみては?」 「私が出向くのか?」 「はい。その中で王の目に止まる娘がいれば、妃に迎えればいいでしょう。いなければ、そのまま帰ってくればよろしいのです。」 これにはさすがの信寧王も、納得する意見であった。 「そうしよう。早速その村に使いを出し、村中の娘と会わせよと知らせを。」 「はい。かしこまりました。」 王の間を出た家来に、忠仁が近づいた。 「忠仁様。」 「静かに。村に知らせを出す際、村長に娘を選ぶ条件を伝えろ。」
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