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その日の客は、制服を来た子どもたちの集団だった。見た目にはだらしなく制服を着崩していたが、無言で店内に足を踏み入れて来たのが多少不自然だった。
少年三人と少女が一人。少女は鬱陶しいほどさらさらな長い髪をわざわざ邪魔になるよう陰気に前に垂らして顔が見えない。少年三人も帽子やマスクをしており、猫背が深くて様子がうかがえなかった。
何となく四人の様子が気になったのは、店長としての勘が働いたものだろうか。
「水前寺さん、レジお願いします」
光太郎がレジの外に出て、目配せすると清隆はすぐに気が付いた。
「あ!」
「待ちなさい」
水前寺兄妹が気が付いたのと、四人の少年たちが走り出したのは同時だった。
光太郎が店を飛び出し、その後に清隆が続いた。コンビニの前は一本道だ。少年たちは、当然のように二手に分かれ、光太郎と清隆もお互いの目線すら合わせず、第六感とも言おうか、自然と背を向けて走りだしていた。
「狩れたか?」
「お互い、何とか捕まえたな」
その晩は、二月中旬並みと言われるほどの寒さだった。凍てつく空気の中、アラサー男性二人の目が闇夜に爛々と輝いている。
「コンビニの店員も楽じゃないですね」
清隆が少年一人と少女一人を引きずって歩きながら、ちゃかすように言った。光太郎は、それが妙に鼻についた。
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