6人が本棚に入れています
本棚に追加
「レディ・ルパンのパンティは純白でした!」
3人の殺人鬼たちの邪な目がレティシアの下半身に注がれた。
怪盗になると決めた時、覚悟はしていたが、実際にこうした状況になると恥ずかしい。
「レディ・ルパン、怪盗のくせに純白パンティはまずいんじゃないですか?」
「だって、白の方が可愛いじゃない!」
「そうよ、可愛い女の子は純白をはくべきよ!」
「めずらしく意見が合ったわね、ジャクリーン」
「いや、悪党は黒の挑発的なパンツをはくべきだと思う」
「それは決めつけよ、ブッチャー。わたしにはいろいろな下着を試す権利がある」
下着談義をしながら、レティシアは今の危機を打開する方法を考えていた。
縄抜けの技術で何とかロープを解こうとする。
だが、結びめは硬く、ロープは太くて丈夫だ。
逃れようとすればするほど手首に食い込んでいく。
おまけに殺人鬼たちの関心は、すでに次に移っていた。
「では処刑の続きをおこないましょう。まず分け前の確認ですが、私がレディ・ルパンの血、ジャクリーンが美しいパーツ、ブッチャーが残りの肉と内臓と骨。それでよろしいですかな?」
「いいわよ」
「OK」
下着談義の時とは違い、3人は殺人鬼の表情になっていた。
ミューラーの冷徹な目、ジャクリーンの嘲るような笑み、ブッチャーのダラダラとたれるよだれ。
3人に共通しているのは、大怪盗アルセーヌ・ルパンの娘を亡き者にできるという静かな興奮だ。
ルパンの娘を殺したという実績は裏社会の勲章にもなる。
何かまずいかも……。
さすがのレティシアも焦り始めた。
幾多のピンチを切り抜けてきた彼女だが、3人は超弩級の危ないやつらだ。
先程まで行動を共にしていた男を捜した。
彼はレティシアが捕まると、一目散に逃げていった。
やはり口だけの男だ。
現在、レティシアは監獄島という絶海の孤島にいた。
なぜここにいて、こんな目に遭っているのか?
話は3日前にさかのぼる。
最初のコメントを投稿しよう!