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青木芳光はふと足を止めた。
ある骨董品店の軒先におかれている黒い石の貼り紙に気を奪われたのである。
「夢石 ~
この石を握って眠れば、恋がかないます」
値段は五千円。
しかし、どう見たって、ただの石ころである。
普通の石以下である。
なぜなら、石は欠けている。おそらく、もう半分がそろえば卵よりひとまわり小さいサイズだ。
そのまま通り過ぎてもいいはずなのだがどうしても気になる。
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