第一章 芳光の話

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 青木芳光(よしみつ)はふと足を止めた。  ある骨董品(こっとうひん)店の軒先(のきさき)におかれている黒い石の貼り紙に気を奪われたのである。 「夢石 ~  この石を握って眠れば、恋がかないます」  値段は五千円。  しかし、どう見たって、ただの石ころである。  普通の石以下である。  なぜなら、石は欠けている。おそらく、もう半分がそろえば卵よりひとまわり小さいサイズだ。   そのまま通り過ぎてもいいはずなのだがどうしても気になる。
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