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3 藤野
午後の講義を終えた俺は、猛ダッシュで大学の構内を駆け抜けN駅へと向かった。
いよいよ約束のデートの日だ。
あれから毎日、佐久嶋さんと顔を合わせる度に「絶対に来て下さい」と念を押し続けてきた。たくさん睨まれたし、無視されたし、終いには腹殴られたりもしたけれど、ここで引くことはできない。
なにしろもう「好きです」と告白してしまったからだ。
佐久嶋さんのアパートからの帰り道、我に返った俺は、興奮と恥ずかしさのあまり「うおおおお――」と大声で叫びながら夜道を全速力で疾走した。
言ってしまった。
好きだと気づいて間もないのに、告白なんて生まれて初めてなのに、言ってしまった。
なにも考えず、するりとその言葉が口から飛び出てしまった。
それから一晩中布団の中で悶えていたが、一度口に出した言葉は二度と取り戻せないのだ。
こうなったらもう、玉砕覚悟で当たって当たって当たりまくってやるぞ、と並々ならぬ覚悟を決めたのだった。
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