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ところがバイト四日目以降、佐久嶋さんはまったく姿を見せなくなってしまった。 最初はただの休みだと思っていたが、一週間経っても一向に現れないので、心配になった俺は、パートのおばちゃんに佐久嶋さんの行方を訊ねてみた。
「ああ、佐久嶋くんは毎年恒例の長期休暇よ」
せんべいをぼりぼりと食べながら、おばちゃんは答える。
「理由は知らないけど、いつも八月はほとんど出ないのよね、あの子」
「人妻と南の島にバカンスだとかなんとか聞いたことあるぞ」と、電気工事士のおじさん。
「あら、夏休みの間だけ離婚した元妻の子供を預かって面倒を見てるらしいわよ」と、別のパートのおばちゃん。
「まあ、あんな容姿だから、いろいろあるんでしょ」
それぞれ好き勝手言いながら、おばちゃん達は佐久嶋さんの噂話で盛り上がっていた。
また仕事に戻ってくるのであればそれでいいが、それにしても淋しかった。
佐久嶋さんに会いたい。怒鳴られてもいいから一緒に仕事がしたい。あの仕事中の格好良い佐久嶋さんが懐かしかった。
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