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浪岡は左後ろのスミッコの席にいる男子だ。
いつも死んだような目をしている割には、放課後はゲーセンで遊んでるとの噂だった。
梶取は浪岡を呼び出した。
梶取「何で長生きしたくないと考えているんだ?君はゲームで遊ぶっていう生き甲斐があるんじゃなかったのか?」
浪岡「俺の親が医者になれってうるせーんだ。俺は医者なんかなりたくなかった。医者じゃなくて漫画家になりたかった。」
梶取「じゃあ、医療漫画を描くというのはどうだ?」
浪岡「そんなの考えたくもない。医者から切り離した生き方をしたいのに、親が認めねーんだよ。だから、卒業式の直後に死ぬ計画を立ててんだよ。」
梶取「!?」
ふと、梶取の頭に地獄のように絶望的な記事がよぎった。
日本の自殺は国際的にも異常で、若者の死因のトップが15~39歳ひっくるめて自殺なのだ。
若者の自殺が増えるということは、子供を産み育てる人が減るということ、それが少子化及び人口減少に拍車をかけるということなのだが。
梶取「死ぬ以外に手段はなかったのかね?浪岡君。」
浪岡「俺が家出したとか絶縁したとかなれば、親の医者としての価値が下がるんだと。そのクセ親は俺の何とも思ってなかったのに。だから死んで究極に下げてやろうと思ったんだよ。出世のことしか頭にないクソ親は、俺が地獄へ道連れだ。」
死ぬことだけに頑冥な浪岡。
と、梶取がある提案をした。
梶取「浪岡、どうせ死ぬなら、最後の思い出として恋愛するのはどうだ?私があんな質問をしたのには理由があってね、君と同じく20歳になる前に死にたいと考えている女子がいる。」
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