こたつと私の小さな戦い。

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「こう、毎日寒いと嫌になっちゃうよね。」 学校が終わり、いつものように帰路についていた清水彩佳(しみず あやか)は、友達の朝嶺小春(あさみね こはる)に話しかけた。 「ほんとほんと、今日も寒いね。 天気予報で言ってたんだけど、この寒さが1週間は続くんだって。」 小春は彩佳に同情しながらも、今朝見た天気予報のことを話す。 「まじで? 寒いの苦手だからやだなあ。」 とため息まじりに返事をしながらも、家まで歩き続ける。 「寒い日はこたつから抜け出せなくなるんだよね。」 と小春が言った。 ”こたつ”と小春が口にしたとき、彩佳はピクっと反応した。 「こたつってなんであんなに居心地がいいんだろうね。 気づかないうちに、時間がたってるんだもん。」 彩佳にとってこたつはちょっとした敵だった。 時間を奪ってしまう魔の誘惑なのだから。 「ほんとにね。」 などと話してるうちに家の前まで帰ってきた。 「じゃあまた明日、学校で。」 と彩佳は手を振りながら小春を見送った。 「さて。」 と一つ気合を入れてから、家の中に入っていく。 今日も彩佳とこたつの、小さな戦いの幕があがる。
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