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午後8時半。辺りはもうすっかり
日が暮れて、街灯が煌々と灯っている。
ようやくバイトが終わり、私は帰路についた。
「ポラリス見っけ」
バイト後に夜空を見上げて北極星を
見つけるのが私の日課。
北極星、別名ポラリスは、こぐま座の
二等星で、常に北側にあることから、
大航海時代には船を正しい方位に
導く星として重要な役割を果たしてきた。
一等星の他の星たちの輝きには負けるものの、
迷える人間を導いてくれるような気がして
私は大好きだ。
徒歩2分ほどで駅に着く。
小さな売店と券売機以外何もない
田舎の駅。
駅長室の駅長さんは今日も暇そうにあくび
している。
「おい」
後ろから飛んできた、一度聞いたことのある声。
私はすぐ後ろを振り返る。
「え?三島君?帰ってなかったの?」
「暇だから。」
彼はぶっきらぼうにそう答えた。
「そう、なんだ。」
「電車出るぞ。」
彼は私に背中を向けてホームへ歩き出す。
夜の暗闇に溶け込むその後ろ姿がとても頼もしく見えた。
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