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「はぁ。行っちゃった」
俺はトボトボと歩き出した。腹がグ、グウ~と情けない音を立てる。バイト前に食べたコンビニのおにぎりはとっくに消化されてしまっているようだ。腹が減ってるから余計に情けない気持ちになるんだろうな。
「はぁ……」
腹を摩りながら歩いていると前方に安いイタリアンレストランの看板が見えてきた。
ラーメンでもいいけど、野菜や肉も食いたいし、ここ入ろうかな。
昼間ならファミリーでいっぱいだろうけど、こんな時間だから客層は若いカップルか、女子のグループがチラホラいるくらいだった。俺は窓際の端っこのテーブルへ座り、メニューを見ながらピンポンを押した。
水を運んだ店員へメニューを向ける。
「トマトとモッツァレラのサラダ。ほうれん草とベーコン炒め、オリジナルピザMサイズ、チキン&バーグ単品、クリームカルボナーラ。あ、ドリンクバーも」
「は、はい……」
庶民の味方な値段で助かる。と思いつつ、どんどん運ばれてくる料理を食べながら笹原さんを想った。
今頃ふたりでしっぽり……してるのかな。車だから飲んではいないよね。いや、先輩は飲んでなくても笹原さんは飲んでるかもしれない。ほんのり頬がピンクになった笹原さん、すげぇ可愛いだろうな。
『ん~。せんぱぁい。ぼく、ねむくなっちゃったぁ』とか言って甘えてたりして。さっきもナチュラルに肩を抱かれてたしなぁ。あの先輩、いかにもエッチ上手そうだし……もしかして、本当に付き合ってたりするのかな。だとしたらかなり強敵だ。
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