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やけにしょんぼりした声に、剛田君の辛さが伝わってくるようだ。俺はできるだけそっと触れるように返事をした。
「ん?」
『俺がいなくて淋しいですよね? ごめんね?』
ふがっ!
な、なんなの? なんで俺よ! なんでちょっと上からなんだよっ!
「べ、別に寂しかないし、な、何言っちゃってんどぅよっ! そっちが連絡もなしに休むから、いつまで休むだかもわかんねし、こっちぃも仕事上の都合ってもんもあんどぅよ! うかつに休みてえとも言えんし、とっ、とにかく、淋しかねえしっ! 用事もねえ! おやすみっ!」
直ぐに我に返る。
……有無を言わさず電話を切ってしまった。
何やってんだ、俺。忌引きで里帰りしてる後輩相手に喚き散らすなんて。
ずーんと空気が重く伸し掛かり、自己嫌悪に陥った。気が滅入る。
これじゃ追い出した時と一緒じゃないか。
電話をかけ直すこともできず、俺は携帯を手放し布団へ潜り込んだ。
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