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翌日の金曜日、学食でひとりカレーを食べていたらポンと肩を叩かれた。
振り返れば、トレーを持った清水先輩。
「……あ、どうも」
「よ! 元気ないね」
清水先輩が隣の椅子を引き、座りながら言う。
「へっ? いやっ、……元気です。元気」
「へへへ」と愛想笑いで誤魔化すと、「そう?」と清水先輩は軽く首を傾げ、割り箸を手にしたまま俺をジッと見る。
相変わらずの男前。ジッと見られると固まってしまう。なんだろう。ソワソワというか、緊張……しちゃうんだよな。
「そういえば、告白してきた後輩君とはその後どうなったの?」
「ああ、身内に不幸があったらしくて。今実家の方に帰ってるみたいです」
その後どうなった? の質問への答えじゃないなと思いながらも剛田君の現状だけをお知らせした。だって別にどうにもなっていないし。どうにかなんてなりようもないんだから。それに、ダミーのお願いをしたうえ、親切にも相談に乗ってくれた清水先輩に友達やってることや、友達なのに妙なことになって追い出したとか……。考えてみれば、いろいろありすぎだったし……今はなんもないけど。
「ふ~ん?」
清水先輩は微妙な相槌を打ち、蕎麦をズズッとすすって「あ」と顔を上げた。
「そういえば明後日、誕生日だよね?」
唐突な話題に俺の胸はピクンと飛び上がった。
「え、知ってたんですか? そうなんです。二十一歳」
「じゃあさ、明日バイト終わったら飲みに行こうか? 誕生日のお祝いに」
「ホントに? 行きます行きます!」
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