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90歳を過ぎて身体がおもうように動かせなくなり、食も細くなった曾祖母だけど、僕が幼稚園から帰るとこたつに入って柿を剥いていた。
その手つきはどこか危なっかしかったけど、その時の僕の目には、橙色のするすると剥けていく皮の様子がどこか魔法のように見えた。
子供の好奇心というものは抑えがきかなく、僕は近くにあった包丁を手にとって皮を剥きはじめた。
危なっかしい手つきの曾祖母の動きを見よう見まねでやってみる。
年老いた曾祖母と幼い僕の二人。
誰もとめる者はいなかった。
それと、僕だって出来る、出来るんだという妙な自信もいけなかった。
僕は案の定、指を深く切り病院に運ばれた。
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