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それ以来、曾祖母が柿を剥いている姿を見かけることはなくなった。
勝手に方は使ってケガをした僕が悪いのに、きっと、曾祖母は母や家族に責められたのだと思う。
僕があの時ケガをしてなければ曾祖母は今も柿の皮を剥いていたのだろうかと、ふとした時に考えてしまう。
きっと、曾祖母にとってこの出来事は、嫌な出来事であり嫌な思い出だろう。
けど、僕は違う。
たしかに指を切って痛い想いをしたけど、曾祖母と二人並んで果物を剥いた、最初で最後の唯一の思い出だから。
だから僕にとっては、大切な大切な良い思い出。
もう曾祖母がなくなって十年以上が経つが、毎年この時期にこたつを見ると、この思い出が蘇る。
そして、これからもずっと続いていく僕の大切な思い出。
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