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大理石の床と柱、いたるところに高そうな壺やら絵画。
玉座へと続く道のりにはレッドカーペッドが続いており、その先には
豪華な装飾の椅子に座る偉そうなおじさんがいる。
これが人間の国の王様…
俺のイメージでは王様はもっとでっぷりと太っていて、髭がふさふさしていて…
その想像とは裏腹に、偉そうに座るおじさんは騎士を連想させるような
がっしりとした肉体に清潔感のあるさっぱりとしたヘアスタイルと綺麗に髭は剃られている。
髭がないせいもあるのか、年齢より若くも見える。
話では40代前半と聞いていたけど30代前半に見えなくもない。
だが貫禄だけはしっかりと感じ取れる程の強面である。
その場にいる全員が頭を深々と下げ、挨拶をする。
「面をあげよ、まずは勇者になるための儀式、ごくろうであった」
「お気遣い誠にありがとうございます。」
「して、無事に勇者になれたと聞くが…」
王様がちらりと秀一に視線を向けると、秀一は儀式で手にした勇者の剣を王に掲げた。
「こちらが勇者の証でございます」
「ほう…これが…随分と細い剣だな」
「はい、おそらく私が使いやすいように神が配慮してくださったのだと思います」
「このような剣を扱ったことがあるのか?」
「切れる剣ではなく模造刀のようなものではありますが…」
秀一は学生の頃剣道部に入っていた。
スポーツは万能だったから助っ人で色んな部活に入ってはいたけども
所属は剣道部だった。
代表に選ばれるくらいの腕だからこの世界でもきっと刀を振っても上手くいくんだろうな…
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