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「なるほど、期待しておるぞ。それからそこの者は?」
自分に話題が向くとビクンと緊張して硬直してしまう。
「えと…えと…俺は…」
緊張で上手く喋れず秀一に目配せをして助けを求めると、やれやれと呆れた表情の
秀一が代わりに話してくれる。
「私の知り合いでして、出来れば魔王討伐のメンバーとして連れて行きたいと思います」
「トールと申します!精一杯頑張るので!…その、宜しくお願いしましゅッ」
緊張からつい舌をかんでしまい、恥ずかしさで真っ赤になっていると
王様はそばにいた人間に何かを耳打ちする。
うう…きっと俺みたいな部外者が入るのはダメなのかな…
「3人とも、今日はよく休め。これからの事は後で指示を出そう。下がれ」
「「はっ!失礼いたします!」」
ルシエルと秀一は慣れたように王へ再び頭を下げると出遅れた俺を連れて
玉座の間をあとにした。
俺はというと扉から出た瞬間、緊張から解き放たれてへたへたと座り込んだ。
「こんな偉い人の前で話すのなんて初めてだよ~」
「今度からあの人の元で仕事するんだから慣れないと…」
「大丈夫です、王の前での礼儀も合わせて私が教えて差し上げます」
「覚えることがいっぱいで頭パンクするかも…」
与えられた自室へと向かって一旦ベッドで休むことにした。
また夕食の頃に迎えにくると言われたのでとにかく開放感を感じるために
衣服をすべて脱いでベッドへダイブ。
今までのベッドにくらべ、シーツや布団の質が全然ちがう…
「きもちぃ~~…」
あまりの気持ちよさに寝るつもりは無かったのに気が付いたら目を閉じてしまっていた。
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