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「悪かった悪かった、お前のようなタイプは珍しくてな…つい遊んでしまった」
「王様も人が悪い…」
「私の周りは取り繕う人間が多くてね、お前のように素直に表現してくる者は少ないのだ
立場上、私自身も人を疑うことが多いしね。」
「大変なんですね…」
「それが王というものだ。仕方あるまい。ただ、お前とこうやって何も疑わずに
話が出来れば私の気分転換にもなる。」
「なんかペットみたいな感じですか…俺…」
「似たようなものだな、動物は好きだぞ」
だからだろうか、この屋敷の使用人は獣人が多いなあなんて思っていた。
獣人は奴隷になることが多く差別も多い。
だがこうやって使用人として働く枠を設けてもらっているということが
少々不思議に感じていた。
単純に種族への差別意識が薄いのだと思っていたが、
今の話からしてもしかしたら動物が好きだからなんじゃ…なんて可能性も…
「私は昔弟がいたのだ、もちろん腹違いだからお前くらい年が離れていて。
だが権力争いに巻き込まれ暗殺されてしまった。
とてもかわいがっていたのだが…
だからお前を見ると少々弟とだぶらせてしまうのかもしれない」
最初は怖そうなイメージだったはずなのに、
気さくに話しかけてくれて、今は亡くなった弟さんの話をしている王様が
しゅんと寂しそうな表情をしている。
自分より年上の体の大きなオジサンなのに、なんだか無性に撫でてあげたくなる。
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